頭痛、めまい、頭部外傷、顔面・手足の麻痺やしびれ、言語障害、認知症などの患者さんの診断・治療を行っておりますので、お気軽に受診してください。
当院の外来の特徴は、緊急性の高い疾患を見逃さないように、受診当日にCT/MRI等の診断機器を用い迅速に診断を行なっております。検査の都合上、早めの診察時間(午前午後いずれも)に受診されるようお願いいたします。
また、緊急治療が必要な患者さんが受診された場合には、即座に当院で入院の上治療開始することができます。
脳神経外科は脳外科とも呼ばれ、脳・脊髄・神経を専門に診断/治療する診療科です。脳卒中といわれる脳血管障害、転倒による頭部外傷、脳腫瘍などの診察・手術を行います。手術は大きく分けて開頭手術と血管内治療の2つがあります。
例えば頭痛、吐き気、転んで頭をぶつけてしまった、なんだが喋りづらい気がするなどの日常的な症状やできごと、気付きが診察のきっかけとなります。 時には命に関わることもありえますので、気になる事がある際はまず、当院へご連絡下さい。
当院で行っている手術
- 内視鏡下経鼻下垂体腫瘍摘出術
- 開頭脳腫瘍摘出術
- 脳血管障害に対する手術:開頭脳動脈瘤ネッククリッピング術(破裂・未破裂)、開頭血腫除去術、血管吻合術、頸動脈内膜血管剥離術など
- 水頭症手術 など
開頭手術について
当院では、福島孝徳先生を中心とし、佐々木裕亮医師とともに脳動脈瘤、脳梗塞に対するバイパス術、良性腫瘍(髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、類上皮腫等)、悪性腫瘍(悪性神経膠腫、膠芽腫、転移性脳腫瘍)、高難度の頭蓋底腫瘍(軟骨肉腫、類上皮腫)、三叉神経痛、片側顔面痙攣、舌咽神経痛に対しての治療を行なっております。
特に大半の手術を鍵穴手術という手法で手術をしており、できる限り小さな傷、小さな開頭で安全に手術を行っております。(→鍵穴手術の説明についてはこちらhttp://dr-fukushima.com/operation)
また、当院における99%の手術を無剃毛、つまり髪の毛を剃ったりせず、髪の毛があるままの状態で手術を行っております。部分剃毛する施設は多いと思いますが、全く剃毛せずに手術を行う施設は、関東圏にはほぼありません。このようにすることで、退院後すぐに日常生活に戻ることが可能ですし、骨の形成等美容面に関しても脳外科医としてどの施設よりも丁寧に綺麗に手術を行っております。
血管内治療について
脳神経外科領域では、近年で急速な発展を遂げてさまざまな治療器材が使用可能となっています。治療困難であった病変も手術ができるようになる、開頭手術と比べて患者さんへの負担が少なく入院期間が短い、高齢者や全身合併症を持った方にも施行できる点などで優れています。
ボトックス治療
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ボトックスとは、A型ボツリヌス毒素を有効成分とする骨格筋弛緩剤です。末梢の神経筋接合部における神経筋伝達を阻害することにより筋弛緩作用を示します。適応疾患としては、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、および斜視における筋の攣縮および緊張であります。自費ではなく、保険制度内での治療となります。
当院での治療可能となる疾患、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)、片側顔面痙攣、上肢痙縮(じょうしけいしゅく)、下肢痙縮(かしけいしゅく)、痙性斜頸(けいせいしゃけい)についてご説明致します。
1:眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
眼瞼痙攣とは、40-60歳代の中高齢者で多く、比較的女性に多く認めます。間代性・強直性の筋収縮が両側の眼輪筋に不随意に反復出現する病態であります。羞明感(微かな光でも眩しいと感じやすい)あるいは、眼部の刺激感、違和感から始まり、重症化すると閉瞼障害(眼を閉じられない)を来たし機能的に失明する状態に至ります。通常は両側の対称性でありますが、軽度の左右差を認めることもあります。
2:片側顔面痙攣
顔面神経の不随意な興奮によって支配筋に攣縮が生じる病態です。通常は、REZ(Root exit zoon)と言われる脳幹部から顔面神経への移行する部位に血管が接触、または食い込むことが原因となります。稀に、腫瘍や嚢胞病変、動脈瘤等により、この部位が圧迫されていることが原因となることもあります。基本的には片側にだけ生じる病態であります。
3:上肢痙縮(じょうしれんしゅく)・下肢痙縮(かしれんしゅく)
脳卒中や、脳性麻痺、頭部外傷、脊髄損傷、多発性硬化症等の疾患を患った後に、脊髄での反射が亢進し、筋緊張の亢進による運動障害や不随意運動を特徴とします。軽度であれば、起立歩行や姿勢保持に役に立っていますが、重度になると日常生活の動作を悪化させます。痛みを伴ったり、締め付け感が強くなり、生活の質は著しく低下します。
ボツリヌス療法(ボトックス注射)は、脳卒中治療ガイドライン2015においてもグレードAで推奨されております(グレードAとは、行うように強く勧められる基準であることです)。上肢下肢の痙縮の軽減、関節可動域の増加、日常生活上の介助量の軽減に有効であります。また、定期的な反復治療を行うことにより、長期的な痙縮の改善効果が期待できます。
上肢の痙縮に関しては、ボツリヌス毒素を上腕、前腕や手指筋群に注射します。下肢に関しては、大腿、下腿や下肢筋群に注射します。
4:痙性斜頸(けいせいしゃけい)
頭頸部の筋緊張異常により頭位に異常を生じる疾患です。症状は患者さんによって異なり、頭部の回旋・側屈・前後屈や、肩挙上、側彎、躰幹のねじれなど様々な組み合わせで出現し、振戦などの不随意運動を伴う場合もあります。筋緊張の異常が、胸鎖乳突筋、僧帽筋、後頸部筋(頭板状筋)、肩甲挙筋、斜角筋などに見られ、頭位の異常を認めます。 - 診療内容と特徴
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~眼瞼痙攣・片側顔面痙攣~
初診の方は、受診日をご予約ください。まず初回外来受診日に担当医が診察し、症状を判断し診断いたします。片側顔面痙攣の場合は、MRI検査(3.0テスラの高精度のMRI)を行い、頭蓋内に原因がないかを確認いたします。眼瞼痙攣が疑われる際にも、稀に頭蓋内に原因があることもあるのでMRI検査を受けて頂くこともあります。診断後は、次回来院日を予約して頂きます。顔面が痙攣する疾患は、他にも眼部ミオキミア、チック、開瞼執行等ありますので、顔面が痙攣する症状を全てボトックスで治療できるわけではありません。
ボトックス投与方法としては、痙攣が生じている顔面の筋肉に対して、一カ所1-2単位の量(0.1-0.3cc)の製剤を非常に細い針で筋肉内に注射していきます(投与部位に関しては下図参照)。注射する部位はアルコール綿で消毒を行いますが、アルコールによる過敏症等をお持ちの方は診察時に担当医に伝えてください。
初回の方は、合計で10単位まで投与になります。
初回投与後、効果が不十分な場合は、合計20単位を上限とし追加投与していきます。
再投与に関しては、2ヶ月以上の期間をあけて、合計30m単位を上限として投与していきます。効果継続期間は、投与する単位量により変わりますが、約2-3ヶ月です。毎回診察時に、注射の効果の具合を確認し、適宜担当医が投与量を調整していきます。
他院にて既にボトックス注射を行なっている方に関しては、外来予約される際は、初回外来診察時に、ボトックス注射製剤をご用意する必要があるので、その旨を伝えてください。前医での診療情報提供書をお持ちであれば、初回診察時に持参をお願いしておりますが、前医からの診療情報提供書の受け取りが困難な場合でも、診察上特に問題ありませんので、直接外来診察にお越しください。
~上肢痙縮・下肢痙縮~
当院では、リハビリテーション科の木曜日午前の外来にてボトックス療法を行っておりますが、2020年7月より土曜日の午後に脳神経外科でもボトックス療法を開始しました。 初回受診の方は、土曜日の午後の外来枠をまず予約して頂きます。初診外来当日は、担当医が診察を行います。他院での情報診療提供書をお持ちの方は、初診外来受診時に持参下さい。前医からの診療情報提供書の受け取りが困難な場合でも、診察上特に問題ありませんので、直接外来診察にお越しください。診察後、ボトックス投与日を予約いたします。
上肢痙縮に関しては、複数の緊張筋に対して合計240単位までの量を分割して投与いたします。下肢痙縮に関しては、合計300単位までの量を分割して投与いたします。効果持続時間に関しては、3ヶ月程度であります。
他院にて既にボトックス注射を行なっている方に関しては、外来予約される際は、初回外来診察時に、ボトックス注射製剤をご用意する必要があるので、その旨を伝えてください。
初回外来受診を希望の方は、まず土曜日の午後の外来受診日をご予約ください。前医での情報診療提供書をお持ちであれば、持参ください。特にお持ちでない場合でも受診可能ですので、ご予約ください。初回受診時に、担当医が診察させて頂き、今後の治療計画をご説明いたします。次回の外来よりボトックス治療を開始します。
初回投与時は、30-60単位を分割しそれぞれの緊張筋に投与します。初回投与後、4週間経過し、効果が不十分な場合は、180単位まで追加投与を行います。それ以降に関しては、症状が再発した場合は、2ヶ月以上の期間をあけて上限240単位として治療を行なっていきます。
✗印:典型的な投与部位
- 顔面痙攣(がんめんけいれん)
- 顔面痙攣(正確には片側顔面痙攣といいます)とは顔の半分が自分の意志とは関係なくピクピクとけいれんする疾患です。
これは顔面神経の不随意な興奮によってその支配筋(眼輪筋、口輪筋、頬筋等)が発作性、反復性に収縮することによって生じます。中年の女性に多く、片側の眼の周囲(特に下眼瞼部筋)から始まり、徐々に口元へと広がっていきます。精神的緊張、ストレス、疲労、顔面筋の運動などで誘発されることが多いようです。はじめは眼の周りのピクつきだけであったものが、数ヶ月から数年の経過で症状が進行していき、頬から口元へと痙攣の範囲も徐々に広がっていくことが多いです。症状の進んだ患者さんでは顔だけでなくあごの下の筋肉(広頚筋)までも痙攣してきます。また痙攣の起きる頻度も徐々に高くなり四六時中痙攣している患者さんもいらっしゃいます。顔面痙攣が長期間にわたる患者さんでは、けいれんの収まっているときに同側の顔面麻痺(鼻唇溝;ほうれい線が消え口元が垂れる)がみられることもあります。この症状がもとで人前に出るのが億劫になったり、その結果転職せざるを得なくなったり(特に営業の方)、またマスクなしでは外出することが出来なくなったという方もいらっしゃいます。 - 顔面痙攣の主な原因
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顔面痙攣の主な原因は「頭蓋内血管による顔面神経の圧迫」によるものです。圧迫部位は頭の中心にある脳幹(多くの脳神経が出入りし、大脳や小脳と脊髄を結ぶ生命維持にとって大切な部分)から顔面神経が分岐した直後の顔面神経根出口領域(root exit zone; REZ)と呼ばれる部分です。この部分に圧迫血管の拍動が伝わり顔面神経が「異常興奮」するため、その支配筋である顔面の筋肉が本人の意思とは関係なく(不随意に)収縮を繰り返してしまいます。
他の原因としては脳幹周囲にできた脳腫瘍や脳動静脈奇形、脳動脈瘤による顔面神経の圧迫、その他耳下腺腫瘍、多発性硬化症、Chiari I型奇形等種々の病態によって生じるといわれていますが非常に稀です。また末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)後に生じることもあります
- 顔面痙攣の診断
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脳神経外科、神経内科の専門医による診断が必要になります。顔面痙攣は明らかで分かりやすい症状ですがそもそも顔面痙攣が治療可能である疾患であることすら御存知ない方もいらっしゃいます。最長で20年間顔面痙攣を(病気と知らずに)放置しておられた患者さんもいらっしゃいました。診断には診察に加え頭部MRI(強力な磁石でできた筒に中に入ります。磁気を用いて頭蓋内の断層写真が撮影できます。放射線被爆は一切ありません)で顔面神経周囲に並走したりまたはループを形成する血管を確認することが必須です(非常に稀ですが脳腫瘍による圧迫がみつかることもあります)。これらが顔面神経の根元やその周囲の脳幹に圧迫しているようであれば症状と合わせほぼ診断確定となりますがそれでもまだ100%確定とはいえません。これらの神経や血管はその直径が1mm前後のものですので実際に圧迫があるかどうかは手術で直接確認できるまでは証明することはできません。顔面痙攣がみられたから即手術というわけではありません。治療をどうやって選ぶかについては診断を確定したうえで患者さんの訴え、症状の程度、発症からの期間、健康状態、年齢等を総合的に考慮して決定します。顔面痙攣に対する治療選択の明確な基準はありませんが一般的にはまず薬物療法、ボツリヌス菌の注射、それでも症状進行が見られる場合に手術といった流れになることが多いようです発症から間もない、もしくは症状が軽度であればまず頭部MRIにて他の疾患がないことを確認したうえで慎重に経過観察を行います。顔面痙攣を適応症とする内服薬はなく、一般的に内服薬の効果は乏しいことが多いですが中には効果がみられる方もいらっしゃいます。カルバマゼピン、クロナゼパム、ガバペンといった抗痙攣薬やビタミンB12製剤を投与することが多いです。
手術は希望しないが一時的にでも痙攣を止めたいという方にはボツリヌス毒素療法という選択肢があります。これはA型ボツリヌス毒素製剤(商品名:ボトックス)を痙攣の起きている顔面筋に数カ所に分けて注射し、顔面筋を麻痺させる(神経筋接合部に作用します)ことで効果を期待します。有効率は92.6%といわれています。我が国では2000年にA型ボツリヌス毒素製剤の顔面痙攣への適用が認可されました(保険適応となりました)。治療効果は注射後2、3日で出現し、1-2週間で安定してきますが、効果持続期間は3ヶ月前後といわれています。繰り返し注射をすることはできますが対症療法であり(症状緩和のみ)であり根治治療ではありません。
発症から数年経過しそれとともに症状が進行し目立つようになってきた場合、ボツリヌス毒素療法で満足できない場合、完全な治癒を望む場合には手術療法(微小血管減圧術)をお勧めしております。顔面痙攣の原因の99%以上は脳幹近くでの顔面神経への血管の圧迫でありますので、その血管を顕微鏡下に数ミリ移動することで圧迫を取り除いてあげることが根本的治療になります。手術は全身麻酔で行います。痙攣を起こしている側の耳の後ろ(髪の生え際より内側)に4-5cmの皮膚切開をおきます。その下の頭蓋骨に直径3cmほどの穴をあけ顕微鏡を用いて顔面神経を圧迫している部分の観察を行います。圧迫血管が確認されたらそれを慎重に顔面神経から離すように移動し、頭蓋骨内部の壁にテフロンテープ(人工血管に用いられる合成繊維)とフィブリン糊(生体から抽出されたのり製剤)で固定します。ほとんどの方が「術直後から痙攣が消失」しますが数週間から数ヶ月を経て「改善」にとどまる方もいらっしゃいます。一般的には手術の有効率(手術によって痙攣の完全消失もしくはある程度の改善が認められる割合)は80~90%といわれています。手術は最も有効な治療法ではありますが全ての患者さんで完治を達成できるわけではありません。手術合併症で最も多いものは同側の聴力低下、顔面麻痺、嚥下障害、髄液漏等になります(合併症の発生率:3~5%)。中には再手術を受けられる方もいらっしゃいますが再手術では合併症の率はさらに高くなります。入院期間は平均8~10日間ですが、状態によっては術後翌日から食事はもちろんのこと歩行も可能ですし術後4-5日で退院される方もいらっしゃいます(創部の抜糸は外来で行います)
参考文献:「標準的神経治療: 片側顔面痙攣」日本神経治療学会
参考HP:「脳神経外科疾患情報ページ 顔面けいれんとは」日本脳神経外科学会
脳卒中の克服
- 【脳卒中の克服(予防)】
- 脳卒中克服をいかにするかですが、まず予防が最も大切です。
そのためには危険因子を排除しなければなりません。
高血圧、糖尿病、高脂血症、たばこ、酒の飲み過ぎ、ストレスをためないなどの注意が必要です。
脳卒中のより一層の知識を普及するために、日本脳卒中協会ではわかりやすい「脳卒中予防十箇条」が作成されましたので、参考にしてください。- 1.手始めに 高血圧から 治しましょう
- 2.糖尿病 放っておいたら 悔い残る
- 3.不整脈 見つかり次第 すぐ受診
- 4.予防には タバコを止める 意志を持て
- 5.アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
- 6.高すぎる コレステロールも 見逃すな
- 7.お食事の 塩分・脂肪 控えめに
- 8.体力に 合った運動 続けよう
- 9.万病の 引き金になる 太りすぎ
- 10.脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
脳卒中が起こったら一刻も早く救急車を呼び脳卒中の専門医のいる病院に行くことが肝要です。
下記のような症状が起こった場合には脳卒中が疑われます。
脳卒中を専門に扱っている病院を早急に受診してください。晃友相模原病院では脳神経外科医が365日勤務しており、常に脳卒中の救急患者さんを受け入れる体制が整っております。- 意識がない 呼びかけても答えない
- 頭がハンマーで殴られたように痛い
- 急に手足が動かなくなった、しびれが起こった(特に半身の)
- 急に片方の目が見えなくなる、見える範囲が狭くなった
- 急にろれつが回らなくなった
- 急に話せなくなった、言葉が理解できなくなった
- 突然のめまい、力はあるのにバランスがとれず立てない、歩けない、手足がうまく動かせない
- 全身けいれん